ご利用案内はこちら
心理臨床オフィスまつだ

ハンス・セリエの汎適応症候群

ストレスということを考える場合に、度々登場する学者に、ハンス・セリエ(1907年~1982年)がいます。

ハンス・セリエが汎適応症候群を提唱した

セリエは、カナダの生理学者で、1930年代後半に汎適応症候群の概念を提唱しました。セリエのが提唱した概念は、現在でも、各種専門職のテキストに登場します。 セリエは、ストレッサーのもたらす影響を時間軸によって3つの時期に分けています。

ストレッサーが持続された場合、下記の経過を辿るとしています。そして、身体にはあらゆる反応が現れるとされています。 ※ストレッサーとは、ストレスの源であり、例えば騒音や猛暑などの不快な外部刺激であったり、人間関係、仕事の負担などの場合もあります。

警告反応期

3つの時期と述べましたが、この警告反応期は2つに分けて考えられています。

  • ショック相:ストレッサーによって、抵抗力が弱まる時期
  • 反ショック相:ショック相で落ち込んだ抵抗力が高まりはじめる時期

抵抗期

警告反応期で、抵抗力が高まり始めた後に、その抵抗力は、通常時よりも高くなり、そのまま維持されます。この時期を抵抗期と呼びます。

疲はい期

最後の時期に、高まっていた抵抗力は再び低下をはじめ、バランスを崩してしまいます。 以上が、セリエが提唱した概念の概要になります。ストレッサーに対して適応しようとする様子が伺えるわけですが、そのはじめの反応してはショックを受け、多少抵抗力が落ちるところからスタートします。

我々の生活の中で起きそうな事

その後、盛り返し、次第に、通常時よりも高い抵抗力を示すようになります。そして、やがて、その抵抗力は低下していくわけです。実生活をイメージしながらこのことを考えてみると、我々はこのことに近い内容を経験していると思います。(下記の例は、セリエの概念とは異なりますがイメージとして)

例えば、何かの大会に急に出ることが決まったとしたら、緊張のあまり、たじろぐ人もいるでしょう。(この場合のストレッサーは、大会に出るという事実のことを指します。) しかし、もう決まったことだからと思い直し、苦手な分野ではあるけれど、ぼちぼちと練習を始めたりします。

そして、練習に練習を重ね、なんとか大会に間に合わせて仕上げようとします。 この際、普段の生活の中では使わない程のエネルギーを使っていることでしょう。しかし、前半は順調に練習に集中できたものの、序盤から、この練習に陰りが見え始めます。

練習に消耗してしまった結果、疲労が蓄積し、気分も乗らず、なかなか打ち込めなくなってしまうのです。結果的に、大会前にかぜをひいて寝込んでしまうなどもあるでしょう。

こんな経験をされた方は多いのではないでしょうか。はじめは頑張ろうとやってみますが、頑張りすぎて体調を崩してしまったわけです。 セリエの研究では、生理的反応などを指標に、ストレッサーの影響を観察しているわけです。

タイトルとURLをコピーしました